カエンタケ・ベニナギナタタケ・ベニセンコウタケの見分け方【特徴の比較表あり】

猛毒キノコ:カエンタケ

カエンタケ

近年、ナラ枯れと共に大増殖しているとして話題になっている猛毒きのこが『カエンタケ』です。

各地方自治体が注意喚起していたり、ニュースで取り上げられる機会も多いため、気になっている方も多いでしょう。

それと同時に、SNSではカエンタケと似ているきのこの写真を誤って投稿している方も目立ちます。

そこで関東きのこの会では、『カエンタケ』と特に間違われやすい『ベニナギナタタケ』『ベニセンコウタケ』の特徴を比較表にまとめました。

もしカエンタケと思われるきのこを見つけたら、SNSなどに投稿する前にぜひ比較表と見比べてみて下さい。

 

 

カエンタケ・ベニナギナタタケ・ベニセンコウタケ比較表

カエンタケ
ベニナギナタタケ
ベニセンコウタケ
カエンタケ・ベニナギナタタケ・ベニセンコウタケ
  カエンタケ
(火炎茸)
ベニナギナタタケ
(紅薙刀茸)
ベニセンコウタケ
(紅線香茸)
硬さ 硬い 柔らかい 脆い
食毒 猛毒 可食 不明
発生環境 広葉樹の根際 林地 芝生・草地
オレンジ色から赤色 淡赤、ピンク色 鮮紅色
サイズ 2~15cm 4~15cm 2~6cm
形状 平滑・棒状 平滑、先端が尖る 円筒形
発生時期 夏~秋 夏~秋 夏~秋
生え方 群生・単生 束生・群生 単生、束生

 

※表の内容は、あくまでも目安です。

きのこには個体差があり、比較表の特徴に当てはまらないケースも多々あります。

特に、この表を食毒の判断に用いるのは避けて下さい。

 

カエンタケ・ベニナギナタタケ・ベニセンコウタケの特徴

各きのこの特徴を紹介いたします。

  • カエンタケ(火炎茸)
  • ベニナギナタタケ(紅薙刀茸)
  • ベニセンコウタケ(紅線香茸)

 

カエンタケ(火炎茸)

カエンタケ

カエンタケは、夏~秋にかけて立ち枯れしている広葉樹の根際や、切り株の周囲に群生する赤いきのこです。

円筒形に生える個体と、2~10本に分岐する個体があります。

燃えるような色と、枝分かれした形状が『火炎茸』の名の由来です。

強い猛毒を持つきのこで、なんと致死量はわずか3g!

日本ではベニナギナタタケや冬虫夏草と誤食した中毒例があります。

また、触れただけでも皮膚がただれる恐れがあるとされ、それ故に『子供やペットが触ったら大変!』と過剰に報道されたり、駆除されているのが現状です。

ただ、この『触っただけでただれる』という実例は今のところありません。

とはいえ、万が一があるので見つけても触るのはやめておきましょう。

 

カエンタケについて詳しくはこちら↓

www.kanto-kinoko.com

 

ベニナギナタタケ(紅薙刀茸)

ベニナギナタタケ

ベニナギナタタケは、夏から秋に林内で束生、または群生するきのこです。

形状が薙刀に似ていて、淡赤~ピンク色していることからベニナギナタタケと名付けられました。

鮮やかな色をしているため、緑色の草の中でひときわ目立ちます。

とても可愛らしいきのこです。

このベニナギナタタケ、一応図鑑などでは可食とされていますが、無味無臭で美味しいわけでは無いそう。

また、薄っぺらく小さいきのこですので、食菌としての価値はそこまで高く無いと言えるでしょう。

個人的には、無理に採取して食べる必要は無いなと感じます。

ベニナギナタタケと誤って猛毒のカエンタケを食べてしまったという中毒例もあるため、このキノコを食べようと思ったらよくよく注意深く観察してください。

 

ベニセンコウタケ(紅線香茸)

ベニセンコウタケ

ベニセンコウタケは、夏から秋にかけて草地に発生するきのこです。

色が赤く、線香のように棒状に生えることから名づけられました。

一見するとベニナギナタタケとよく似ていますが、ベニセンコウタケの方が濃い鮮紅色をしています。

また、ベニナギナタタケは主に林内に生えるのに対し、ベニセンコウタケは草地や芝生に発生することから見分けることが可能です。

ベニナギナタタケは食べられるきのこですが、ベニセンコウタケは食毒不明とされているのでご注意ください。

近年は、ベニナギナタタケだけではなく、カエンタケと間違われる事も増えてきました。

 

ニクウチワタケというきのこについて

ニクウチワタケ(Abortiporus biennis)

 

きのこ散策をしていると、落枝や埋没枝、腐朽木から出ているサルノコシカケ類が気になっていました。子実層がはっきりしていて乱れた管孔がある。何となく赤味のあるベージュっぽい多肉質のきのこ。

 

梅雨時から秋口まで気にかけているとよく見かける謎のきのこ。かれこれ3年あまりこの気になるきのこについて考えていました。どの図鑑を見てもそれらしいものがない。

 

ただ、ネット上で、グロテスクなストロベリーアイスのようなきのことして、Hydnellum peckiiというマツバハリタケ科チャハリタケ属のきのこの写真が目につきました。「自分が見ていたきのこはこれだろうか…?比較的緯度が高い北方性のきのこ。と聞いているけれど、これ…?」と、またしても数年、きのこの名前が分かりませんでした。

 

そんな折に、子供を連れて出かけた動物園内で、大きなきのこを見つけました。ニクウチワタケイタチタケ?と思しききのこが腐朽木から出ています。

ニクウチワタケ@愛知県豊橋市のんほいパーク内にて(a) 2011.6.18

ニクウチワタケ@愛知県豊橋市のんほいパーク内にて(b) 2011.6.18

よく観察すると、赤い水を吹き出し、成熟した子実層が子実体の上にも多数形成しています。これを見て自身の疑問がやっと解決しました。

 

ニクウチワタケと検索してみると、いわゆるきのこらしいきれいな形の写真がヒットします。これでは、自身が見た小さな個体がニクウチワタケとは判断できませんでした。
また、最近では、赤い水を出すニクウチワタケは、Hydnellum peckiiに見た目が似ていることが知られるようになり、赤い水を出す個体の写真もヒットするようになりました。

 

このニクウチワタケは、純粋培養をした寒天培地上においても子実層を形成し赤い水を出すことがあります。それを自分の目で観察できた時には、非常に感動しました。
また、Mycobankという菌類最大のデーターベースで、本種について検索したところ、さまざまな生育段階の本種の写真と共に、シャーレで培養したコロニーの写真が記載されています。

 

私にとっては、培養所見からもきのこの同定をすることができるという事を知ることができた想い出のきのこの一つです。

ja.wikipedia.org

www.mycobank.org

 




シロクモノコタケというきのこ

シロクモノコタケ(Arachnion album)

 

以前、所属していたアマチュアのきのこの会の会報誌に見たこともない腹菌類の写真が掲載されました。


シロクモノコタケという名前だそうで、腹菌類や地下生菌を数多く研究された(故)吉見昭一先生がその昔に報告してたことなどを知りました。

しかし私自身は、腹菌類と称する丸っこいきのこや地下生菌に大した興味も感じず特に気にも留めていませんでいた。

 

それから、月日が経過し子供を連れて何気なく近所の公園に遊びに出かけた時の事です。砂地の芝生の上に座ってぼーっと子供らが遊ぶ様子を見ていたところ、一面にコロコロした白い球状のきのこが出ているのが分かりました。

 

どうせ、外見からは名前は分からないしと何気なく、指でつぶしたところ、粒状の菌糸の塊がモロモロと出てくるのが分かりました。なんだこれ?

シロクモノコタケ@愛知県豊橋市市内公園にて(a) 採集日:2011.9.4

シロクモノコタケ@愛知県豊橋市市内公園にて(b) 採集日:2011.9.4

私がこれまで見たことのある腹菌類の多くは、新鮮な個体の場合、中身が白っぽく緻密な菌糸が詰まっている印象と記憶していました。これは、今まで見たことがない…。

そういえばと、改めてその会報誌や、2006年にマイコサイエンスという菌類の専門誌に記載された内容を自分なりに読んでみました。砂地でみられることや関西の一部の地域など何となく、これはシロクモノコタケだろうと判断しました。


その後、この写真の標本は研究者に同定を依頼し、貴重な標本だからと博物館に寄贈することができました。


本種は、2007年に出版された『兵庫のキノコ』以外には、なかなか一般の方が手に入る図鑑などには掲載されていない比較的マイナーなきのこです。ただ、現在は、専門的にきのこを研究しているアマチュアによって、美しい子実体の写真がネットで簡単に検索できるようになりました。

 

比較的珍しいとされるきのこですが、私が見つけたのは市街地にある大きな児童公園です。地域の方がごく普通に散歩をしたり犬を連れたりと、多くの人が歩き回れるような環境です。こういったところでも、丁寧に観察すると意外な発見があるんだなぁ。と改めて実感した想い出のきのこの一つです。

www.mushroomexpert.com

www.sciencedirect.com

 

 

オオキツネタケというきのこについて

オオキツネタケを含むLaccaria属は、動物の死体分解跡や放尿あとに好んで発生するアンモニア菌の仲間と言われています。


また、キツネタケというきのこは、外生菌根菌を形成するグループともいわれており、生き物としてみるとなかなか興味深い仲間の一つです。なお、このキツネタケ、オオキツネタケ、カレバキツネタケなどの種類が知られていますが、実際に野外で観察していると、国内には、まだまだ未知種があるのだろうなぁと。感じています。

 

これは、かつて兵庫県の神戸市を訪れた際に見つけた個体です。非常に立派な個体だったので記念に撮影しました。

神戸市森林植物園モミの林床にて(a) 撮影日:2004.5.8

神戸市森林植物園モミの林床にて(b) 撮影日:2004.5.8

なお、これは、別の個体から菌の単離を行いオオキツネタケの菌糸を培養してみました。このように、非常に美しい紫色をしています。きのこの傘の肉組織を無菌的にメスで切り出し、寒天培地に置床し培養を続けたものです。

純粋培養した紫色の菌糸(下) *注(上,中)は異なるきのこ

ただし、このような美しい紫色は、継代培養や年数を経過するうちにその特徴が失われることがほとんどです。


残念ながら、私もこの美しい色彩を持ったオオキツネタケの菌糸を一年ほどで死に絶えてしまい維持することができませんでした。

 

季節によってはごく普通に見られるきのこであっても、食用・薬用などヒトに役に立つかどうかは別として、きちんと育ててきのこをつくってみようと思うと意外に難題にぶつかります。うーん。

お騒がせ猛毒きのこ!燃える炎のようなかっこいいカエンタケに会いに行く☆きのこ観察に出かけよう☆

こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。

 

最近各地でナラ枯れの被害が広がっていることはご存じでしょうか?カシノナガキクイムシという虫(通称:カシナガ)が媒介する「ナラ菌」によりナラ・シイ・カシなどのブナ科の樹木が伝染病にかかり枯死してしまう被害が増えているのです。

そんなカシナガの被害木が多い森で、とある猛毒きのこが増えていると世間を騒がせています。その名はカエンタケ。

 

今日はそんなお騒がせきのこ、カエンタケに会いに行きましょう。

……え?猛毒きのこに会いに行くなんてもの好きですって?きのこは襲ってきませんよ!見るだけなら安全です。

 

カエンタケってどんなきのこ?

にょきにょきと枝分かれしている

カエンタケは以下の特徴を持っています。

  • 大きさ3~8cm
  • 濃い赤~橙色
  • 古くなると色が抜け褐色になる
  • 表面に白い小さなツブツブがある
  • 円筒型か枝分かれした指状
  • 先端は丸いか尖る
  • ややかたい
  • 内部は白色

にょきっと突き出た指のような形です。尖った先端は白っぽくなることが多いので、爪が生えているように見えます。赤い指が地面から出ていたら、ちょっと驚きますよね。

 

カエンタケの名前の由来

炎のような形

枝分かれした形や、真っ赤な色合いが燃え盛る炎のようなので火炎茸と名が付きました。

上の写真のように、オレンジ色から赤黒い色のグラデーションが本当に炎のようで美しいですね。少し不気味さはありますが、とてもかっこいいきのこだと思います。

 

カエンタケはいつ・どこで会えるの?

ナラ枯れを起こした森、特に立ち枯れや切り株の近くの地上で見つけられます。

ひとつ見つけると近くにたくさんある

近頃は広大な範囲でナラ枯れが見られますが、カエンタケが発生するポイントは決まっているようです。ナラ枯れの森全体で見られるわけではないようで、ひとつ発生しているとその近くで次々と見つかります。

 

公園などで発生した場合は注意喚起のため発生情報がHPやSNSに掲載されますが、ほとんどがすぐに駆除されてしまうので意外と会うことが難しいきのこでもあります。いっぱい発生情報がある割に、駆除圧が強くて全然会えないんですよー!

 

カエンタケの毒性と観察時の注意

観察する際は注意してください

カエンタケは猛毒きのことして有名です。それは、食中毒だけでなく、触れただけでかぶれる可能性があるため、危険なきのことして注意喚起がなされているからです。見つけても絶対に触ってはいけません!

逆に言うと、触らなければ害がないとも言えます。ウルシなどと同じですね。

食べてしまった際の中毒症状は以下の通りです。

 カエンタケの中毒症状

食後30分で中毒症状が現れる

頭痛・腹痛・嘔吐・下痢・しびれなど胃腸系と神経系の中毒症状

その後多臓器不全となり死に至る

皮膚や粘膜がただれる

髪が抜け落ちることもある

とても恐ろしい中毒症状です!でも個人的にはドクツルタケの方が怖いかなぁ。ドクツルタケはいったん回復したように見えてじわじわと命を奪う陰険さがありますし、味がおいしいらしいので気づかず食べてしまうかもしれません。カエンタケはあまり食欲を誘う見た目ではないですし、触ったときにかぶれるおかげで毒きのこと気づくのか、食中毒例は少ないです。公園等で注意喚起されている効果で、触ってかぶれた報告も目にしたことはないです。

 

カエンタケを見つけたら、写真を撮りたくなると思います。だって有名な毒きのこですからね!SNSにアップしたら話題になること間違いなし!いいね欲しい!

カエンタケに触れないように撮影するのは当然ですが、近づく前に被写体のほかに近くに別のカエンタケが潜んでいないかよーく観察しましょう。私は撮影に夢中になるあまり、すぐ近くにある別のカエンタケに手が触れて折ってしまったことがあります。やっちゃったー!!と焦りましたが、その時はかぶれずに済みました。(森を出た後ですぐに手を洗いました)でも、一度触ってかぶれなかったとはいえ、次もかぶれない保証はありません。カエンタケには絶対に触らないよう注意しなければなりません。

 

ちょこすき~☆が個人的にカエンタケより怖いと思っているドクツルタケの記事↓

www.kanto-kinoko.com

 

カエンタケに似たきのこ

カエンタケに似たきのこの代表格がベニナギナタタケです。きのこに詳しい人が少ないので、公園管理者すら間違っている場合があります。

間違って駆除されることがあるかわいそうなベニナギナタタケ

ベニナギナタタケは広葉樹林でも針葉樹林でもよく見られます。見分けるポイントは以下の通り。

  • カエンタケより細いものが多い
  • 色は赤だが橙色を帯びている
  • 表面にツブツブがない
  • 先端は細く尖る
  • 柔らかくふにゃふにゃしている
  • 内部も赤橙色

なにより、ナラ枯れしていない森でも非常によく見かけます。木の根元に限らず、林地全体にまばらに発生します。ベニナギナタタケをカエンタケと見間違えて必要のない駆除をしてしまうケースが散見されます。

きのこは子実体を取り除いたところで本体の菌糸が地下にありますからまた生えてくるのですが、無意味な駆除は生物多様性の保全から逆行するなぁと少し悲しい気分になるところです。自然は、美しいものも汚いものも危険なものも目に見えないものも色々含めて自然です。SDGs、考えたいですね。

 

ちなみにベニナギナタタケは食用にできるのですが、カエンタケをベニナギナタタケと間違えて採取し食べてしまうと中毒しますので要注意です。こんな風に間違えるというのも、カエンタケの実物を見て学ぶ機会がないことも一因ではないでしょうか。

 

どうしてカエンタケが増えているの?

カエンタケは本来珍しいきのこでした。都道府県によっては絶滅危惧種に指定されている場合もあるくらいです。それがなぜ、こんなに都市公園でも山でも見かけるようになったのか?

本来は珍しいきのこだったのです

冒頭で説明した通り、カシノナガキクイムシという虫(通称:カシナガ)が媒介する「ナラ菌」により、ナラ・シイ・カシなどのブナ科の樹木が伝染病にかかり枯死してしまう被害が増えています。

カエンタケは、ナラ枯れの木の根元に生えるという特性があるのです。そのため、ナラ枯れが増えると同時にカエンタケもたくさん発生するようになったのです。ナラ枯れするとなぜカエンタケが増えるのかは、研究中で関連性が分かっていません。ただし、ナラ枯れによる環境の変化が、たまたまカエンタケが発生しやすい環境への変化だったと考えられています。

ちなみに、ナラ菌というのはきのこではありません。よく、ナラ菌とナラタケを間違えてカシナガがきのこを媒介していると誤認しているケースがあります。それと、カシナガがカエンタケまで媒介しているという研究結果は現在ありません。

 

 

ではなぜカシナガの被害が増えたのでしょうか?

カシナガは健全な樹木に穿孔して幹の中に入り込み繁殖をします。このとき体に付いたナラ菌を持ち込みます。ナラ菌に感染した樹木はやがて枯死します。翌年、枯死した樹木の中でカシナガの幼虫が羽化して飛び立ち別の木に移動します。若く細い木よりも古く太い木の方が繁殖効率がいいので、ある程度の樹齢以上の木が選ばれるようです。

太いナラ・シイ・カシ類を残して細い木や下層木のみを伐採する公園型整備ではカシナガが繁殖しやすくなり被害を広げます

里山でもかつては大きく育った木を薪として使用していたため、太い木がほとんどなくカシナガの被害も抑えられていました。薪を取らなくなったため里山でも古く太い木が増えており、被害木を放置することにより被害が拡大していると考えられています。

 

おわりに・正しく知って正しく恐れよう

カエンタケは公園など人目に付きやすい場所で発生してしまっている関係で、過剰に危険を煽る報道が多く怖がる人が増えました。なにか事故があってからでは遅いので、各自治体も管理している公園内のものは駆除しておかなければならないのでしょう。

時間がたつと色が褪せてくる

未知のものに対する恐怖感は理解できるのですが、場所によっては土までバーナーで焼いているみたいで、過剰反応しすぎなきらいがありますね。菌糸は地中深く広大な面積に広がっているため、土焼いたところで意味ないんです。また出てきちゃいます。

 

カエンタケは襲ってきませんよ!見るだけなら安全です。

ヘビやハチや熊と違って向こうから襲ってくることがありません。

恐怖のきのこ!とか、殺人きのこ!とか、センセーショナルに言われていますが、触らなければ問題ありません。カエンタケが殺人をするわけではなく、カエンタケを使って殺人をするのは人間です。悪用しようと考える人間の方が本当は恐ろしいのです……。

 

毒きのこだからといって、むやみやたらに怖がる必要はありません。正しい知識を持っていれば適切に対処できます。

カエンタケを発見した場合は、自分で駆除しようなどと思わないでくださいね。触れるとかぶれる可能性がありますから、人が触れるような場所で発見した場合は公園等の管理者にお知らせください!目を離したすきにお子さんやワンちゃんが触ったらかぶれるかもしれないので、危険な場合は適切に駆除してもらいましょう。

 

きのこのかわいさ知らしめたい!きのこってかわいい。きのこってふしぎ。きのこっておもしろい。毒きのこも実際に自分の目で見てみなければ覚えることができません。写真や映像だけでは学べないものもあると思います。みなさんもかっこいいカエンタケに会えるといいですね。

 

鉢植えから黄色いキノコが生えてきたら『コガネキヌカラカサタケ』かも!食毒不明だけど“幸運のキノコ”

あなたの育てている観葉植物や鉢植えから、黄色いキノコが生えてきたことはありませんか?

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)

 

それ、『コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)』かもしれません!

食毒不明なので食べることはできませんが、実は“お釈迦様のキノコ”や、“幸運のキノコ”とも呼ばれる非常に縁起の良いキノコです。

植物に悪影響を及ぼすことは無く、放っておいても数日で萎れてしまうので、せっかくですから観察してみましょう。

よーく見ると、とっても可愛いキノコなんです。

ということで今回は、鉢植えから生えるキノコ『コガネキヌカラカサタケ』について紹介いたします。

 

 

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)とは

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)

コガネキヌカラカサタケは、夏~秋頃の湿気の多い時に生えてくる黄色いキノコです。

植え込みや観葉植物、室内の鉢植え等から発生することが多く、黄色いキノコがいきなり現れるので、SNS等でたびたび話題になることも。

幼菌時のカサは卵型をしていて、そこからぐんぐん横に広がっていきますが、成長スピードが早いので観賞できるのは1~3日程度です。

今回、コガネキヌカラカサタケがカサを拡げていく様子を動画に収めましたので、ぜひご覧ください。

カサが真横に開ききるまで、大体7時間くらいでした。

 

≪コガネキヌカラカサタケのタイムラプス動画≫

 

ちなみに、動画のコガネキヌカラカサタケが生えているのはベゴニアワッパーの寄せ植えで、近所のお花屋さんから買ってきました。

そのお花屋さんではかなりよく見かけるキノコらしく、手入れの段階で見つけたら掃除してしまうそうです。

 

コガネキヌカラカサタケはなぜ観葉植物などの鉢植えから生えるのか

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)

コガネキヌカラカサタケは熱帯性のキノコで、本州ではほとんど自生していません。

では、なぜ本州でも植え込みや観葉植物、室内の鉢植えからなら発生するのでしょうか。

これは、熱帯地方から持ち込まれた土を使っている事が多いためです。

コガネキヌカラカサタケは養分の多い土壌を好み、腐葉土などの中に菌糸を張り巡らせている場合があります。

その腐葉土を鉢植えなどに使うと、夏~秋頃の湿度が高い時期に、コガネキヌカラカサタケが生えてくるというわけです。

 

コガネキヌカラカサタケはスピリチュアルなきのこ?!

コガネキヌカラカサタケは、色や形状からスピリチュアルな呼び名を2つ持っています。

1つ目は『お釈迦様のキノコ』

お釈迦様のキノコ|コガネキヌカラカサタケ

これは幼菌時の形状が仏様に見え、なおかつ黄金色をしている事から呼ばれるようになりました。

2つ目は『幸運のキノコ』

やはり鮮やかな黄色であることと、数日間で枯れてしまうので“出会えたらラッキー”という事から来ています。

非常に縁起の良いキノコなんです!

 

コガネキヌカラカサタケは『食毒不明』食べない方が無難

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)

ヒダもフリルみたいで可愛らしい

コガネキヌカラカサタケの研究はまだあまり進んでいないようで、キノコ図鑑などでは『食毒不明』として扱われています。

植え木の周囲や植木鉢などからキノコが生えてくると、『これ、食べられるかな?』と思うのが人の心理ですが、万が一があるかもしれないので食べるのはやめて観賞だけにしておきましょう。

 

コガネキヌカラカサタケは駆除すべき?基本は放置でOK!

コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)

コガネキヌカラカサタケが生えても、基本的に植物に悪影響を与えることは無いので、駆除する必要はありません。

数日で萎れて勝手にいなくなるので、そのまま放置でOKです。

せっかくですから“幸運のキノコ”の成長を楽しみましょう!

尚、それでも駆除したい場合、生えたきたコガネキヌカラカサタケを根元から引っこ抜くだけでは足りません。

というのも、土の中に菌糸が残っているので、条件が整えばまた生えてきてしまうためです。

見た目などの問題でどうしても駆除したい場合は、土を丸ごと入れ替えるしかありません。

 

まとめ

  • 観葉植物や鉢植えから黄色いキノコが生えてきたら『コガネキヌカラカサタケ』かも
  • 腐葉土などを好む熱帯のキノコ
  • 色や形状から『お釈迦様のキノコ』『幸運のキノコ』と呼ばれている
  • 食毒不明なので食べない方が無難
  • 植物に悪影響を与えることはないので生えてきても放置でOK

 

和製ポルチーニ!都会の緑地にいるヤマドリタケモドキに会いに行く☆きのこ観察に出かけよう☆

こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。

 

梅雨が明けたら夏のレジャーを楽しんでいる方も多いのでは?でも人が多い所は楽しいけど疲れてしまいますよね。そんなあなたにきのこ観察をおすすめします。

 

今日は和製ポルチーニ・ヤマドリタケモドキに会いに行きましょう。

 

ヤマドリタケモドキってどんなきのこ?

柄の網目模様が特徴的
ヤマドリタケモドキは以下の特徴を持っています
  • 傘は6~20cm
  • 傘の表面は暗褐色~薄褐色
  • 傘はややフェルト状
  • 傘は湿るとやや粘性がある
  • 管孔は若いうちは表面が白色の菌糸に覆われる
  • 管孔は白色のち黄色~オリーブ色
  • 柄は長さ10~15cm
  • 柄の全面に網目模様がある
  • 肉は白色
  • 変色性はない
管孔とは、傘裏のスポンジ状の部分のことを言います。ヒダではなく管孔があるきのこのグループを「イグチ」と呼びます。
 
ヤマドリタケモドキの傘の色合いはかなり個体差があり、雨で色が抜けることもあるので、なかなか図鑑と同じようなものに出会うのは難しいかもしれません。安易にヤマドリタケモドキと判断せずに詳しい人に教えてもらいましょう。
 
現在ヤマドリタケモドキと呼ばれているものの中には5種類くらいが混在しており、上記の特徴とは異なる見た目のものもあります。やがて分類が進めばそれぞれに名前が付くと思いますが、ここでは広義のヤマドリタケモドキ全般について紹介していきます。

 

ヤマドリタケモドキの名前の由来

ヤマドリタケに似ているのでヤマドリタケモドキと名前がついています。ヤマドリタケとは鳥の「山鳥」の色に似ているため付いた名です。

 

モドキとかきのこの名前はまぎらわしい

ヤマドリタケとヤマドリタケモドキの和名にはややこしい変遷があります。

<以下簡略化しているけどとってもややこしいので難しい話興味ないって人は読み飛ばしちゃってね!>

日本で平地にたくさん生えているヤマドリタケモドキには、はじめ『ヤマドリタケBoletus edulis』として和名と学名が付けられました。

ところが、このきのこは海外で報告されている『ヤマドリタケBoletus edulis』とは別のきのこであることがわかりました。『Boletus reticulatus』であることが発覚!どうする?

そこで学名だけを付け替えれば簡単だったのですが、日本には『Boletus edulis』も高地に自生していることがわかったのです。こちらの高地のきのこに学名と和名セットで『ヤマドリタケBoletus edulis』を与えることになります。

じゃあたくさん生えているこっちのきのこはどうするの?ってことで、新しい和名が必要になったのです。そして平地に生えているきのこが『ヤマドリタケモドキBoletus reticulatus』となったのです。

……ややこしい!!!

 

ヤマドリタケモドキはいつ・どこで会えるの?

割と群生して生える

ヤマドリタケモドキは梅雨~秋にかけて、広葉樹林やアカマツの混成林に生えます。クヌギやコナラやカシ類などの根元でよく見かけます。上の写真に写っている落ち葉から、このヤマドリタケモドキはシラカシの樹下に生えていたことがわかりますね。

ちなみに、とっても成長の早いきのこですので2~3日で成長してしまいます。私は平日仕事のため週末しかきのこ観察に出かけられないので、タイミングを逃して涙を飲むことがしょっちゅうあります。カビだらけの残骸しかないってこともザラ。

また、虫が大変入りやすいので中がスカスカになっていることもよくあります。この写真も、とてもきれいに見えるのに虫食いで中が空洞でした。柄をつまむとペコっとへこむので採らなくても虫食いがわかるんです。

 

和製ポルチーニ

和製ポルチーニ

ヤマドリタケは海外でポルチーニと呼ばれているきのこです。ヤマドリタケモドキもポルチーニのなかまとして知られており、食用きのことして利用されています。ポルチーニのなかまとしては、ヤマドリタケ・ヤマドリタケモドキ・ススケヤマドリタケ・ムラサキヤマドリタケがあります。

(注:ムラサキヤマドリタケは厳密にいうとポルチーニとは属が異なりますが、食材としてのポルチーニの一種とされています)

 

日本ではヤマドリタケは標高の高い場所にしかないため、低地にたくさん生えるヤマドリタケモドキの方が身近です。きのこ好きの間では和製ポルチーニとして愛されているきのこです。

ヤマドリタケモドキはたくさん生えるのに、なぜ、メジャーなきのこにならなかったのでしょうか?

それは、ポルチーニ類を調理したことがある方ならわかるかもしれません。ポルチーニ類は和食にあまり馴染まないのです。醤油味よりクリームやバターがマスト。卵料理とも合いますが、やはり洋風の味付けの方がしっくり来ます。

可食であることと、食材として有効利用されることは、イコールではないのだなと実感します。それぞれの食文化に合った食材が選ばれてきたのですね。

 

よく似た別のきのこに気を付けて

きのこには不明種が多い

ヤマドリタケモドキなどの傘裏がスポンジ状の管孔をもつイグチ類は、たくさんの種類がありまだ学名すらない不明種がたくさんあります。そのため、似たきのこが非常に多いので注意が必要です。
その中には毒きのこもたくさんあります。

安易に採取して食べてみることは絶対にやめましょう!

 

間違われやすいコガネヤマドリ

この写真は非常によく間違われやすいコガネヤマドリです。私からすると全然似ていないのですが、これをヤマドリタケモドキと似ているなと思ってしまった人!採取しようなんて思わないでね!!スキルがまだまだ足りませんよ!

 

昔はイグチに毒なしなんて言われていましたが、ひとかけら食べただけでも中毒したり、致死性の毒があるイグチもあります。それから、毒はなくても苦みが非常に強いものなど、食べてしまったらダメージを受けるきのこがたくさんあります。

安易に採取して食べてみることは絶対にやめましょう!

大事なことなので2回言いました!!

 

どうしても採取して食べてみたい方は専門家や詳しい人と一緒に探しに行きましょう。きのこ観察会などに参加すると、見分け方など丁寧に教えてもらえると思いますよ!

 

おわりに・身近な場所の方がよく見かける

ヤマドリタケモドキは実は都市部に多いきのこです。公園や宅地のちょっとした緑地に生えていることがよくあります。結構大型な割に色合いが地味なので、目立たないのだと思います。成長も早いきのこですから、人知れず生えて朽ちていっているのでしょう。

ちょっとした緑地に生えている

あまり下草が生えていない場所で雑木林の残された開発地のわきなどがねらい目かもしれません。ただし、観察の際は踏み入れてもよい場所かよく確認してくださいね。他人様の土地の場合、不法侵入になりますので注意してください。

不法侵入、ダメ、ゼッタイ。

ちなみに、公園は採取禁止のことがほとんどなので、見つけても採らずにそっとしておいてくださいね。みんなが観察できるように残しておいてください。

 

きのこのかわいさ知らしめたい!きのこってかわいい。きのこってふしぎ。きのこっておもしろい。みなさんもぽってりかわいいヤマドリタケモドキに会えるといいですね。

 

 

ポルチーニの知識をつけたらこちらのクイズにも挑戦!

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アミガサタケの米詰め【春のきのこの不思議レシピ】

菌友さんに教えていただいたアミガサタケのレシピに挑戦してみました!

アミガサタケ

アミガサタケ

 

春のきのこ『アミガサタケ』は、その名の通り網目状の頭部が特徴的ですが、その中は軸から頭にかけて空洞になっています。

アミガサタケの断面

アミガサタケの断面

 

大雑把に言うと、その空洞の中に米を詰めてスープで煮込むという、なんとも不思議レシピです。

さっそく作っていきましょう!

 

アミガサタケについて詳しく知りたい方はこちら↓

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春のきのこ『アミガサタケ』レシピ

 

《料理名》
アミガサタケの米詰め(2人分)

 

《調理時間⌚》90分

《材料》

  • アミガサタケ・・・4本
  • 米・・・・・・・・1合
  • バター・・・・・・20g
  • 玉ねぎ・・・・・・1/2個
  • ハム・・・・・・・2枚
  • コンソメ(固形)・1個
  • 水・・・・・・・・400cc

 

《作り方》

  1. 天然のアミガサタケには土がついているので流水で洗い、虫出しのために10分程度水に浸ける。

    アミガサタケを洗う

  2. 米を研ぎ、ザルにあげて水気を切っておく。
  3. 玉ねぎ1/4とハムをみじん切りにする。出来るだけ細かい方がアミガサタケに詰めやすい。残りの玉ねぎ1/4個分はスープ用にスライスにする。
  4. フライパンにバターを入れ、弱火で玉ねぎを炒める。

    玉ねぎを炒める

  5. 玉ねぎがしんなりしてきたらハムと米を入れ中火で炒める。米が白くなってきたら火を止めてお皿に移す。

    ピラフのレシピ

  6. アミガサタケの軸部分から炒めた米を詰める。

    炒めた米をアミガサタケに詰める

  7. 水400ccにスライスした玉ねぎ、コンソメを入れて加熱。沸騰したら弱火にして米を詰めたアミガサタケを入れ1時間加熱する。

    アミガサタケをスープに入れて1時間煮込む

 

 ポイント

菌友から、途中までは『ピラフ』を作る要領と教えていただきました。

料理をされるかたは、そうイメージすると分かりやすいかもしれません。

アミガサタケの軸から米を詰める作業は根気がいります。

イライラするといけないので、このレシピはじっくり時間が取れる時に挑戦しましょう!

コツは指で入り口にちょっとずつ詰めて、箸で奥に押し込んでいくイメージです。

アミガサタケの米詰め

 

1時間煮込んだアミガサタケスープが絶品!

アミガサタケの米詰め

アミガサタケを料理する時は、中に虫がいないか心配でいつもカットして使っていたので、丸ごとスープに入っている姿が新鮮✨

※今回は虫がいないことをしっかり確認してから米を詰めています。

頭部をナイフで切ってみるとこの通り、先までみっちり米が詰まっていました!

アミガサタケの米詰め

 

ぱくっと食べてみると、中のご飯にアミガサタケの旨味がしっかり染み込んでいて美味しいです。

しかし特筆すべきはスープの方でした。

これ、香りが良いし、濃厚な味でめちゃくちゃ旨い!!絶品スープ❗

アミガサタケを入れて弱火でコトコト1時間煮込んだことで、旨味がこれでもかと言うくらい溶け出たようです。

『米詰め』はかなり手間が掛かるので、正直毎回作るのは大変ですが、スープはぜひ自分のアミガサタケレシピの定番レパートリーに加えたいと思います。

菌友さんに教えていただいた『不思議レシピ』のおかげで、アミガサタケの意外な一面を知ることができたのでした。

【きのこ図鑑】春に観察できるきのこって何があるの?散策で見かけるきのこたちをご紹介!

【きのこ図鑑】春に観察できるきのこって何があるの?

 

春(3月~5月)に観察できるきのこをまとめました!かわいい写真とともにご紹介します。春のきのこ散策の参考にしてみてくださいね。

春のきのこの種類は少ないですが、ここにご紹介したきのこ以外にもいくつかのきのこが見られます。かわいいきのこを見つけたら、ぜひ図鑑で調べてみてください。

 

 

アミガサタケ

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アミガサタケ(イエローモレル)

アミガサタケの特徴

発生時期
分布地域 世界的
発生環境 広葉樹の樹下(地)
傘の色 帯黄色
傘の形状 しわひだ状
柄の色
大きさ 高さ5~12cm
似ている
きのこ
トガリアミガサタケ・シャグマアミガサタケ

詳しい記事はこちら↓

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ウラスジチャワンタケ

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ウラスジチャワンタケ

ウラスジチャワンタケの特徴

発生時期 春~秋
分布地域 温帯
発生環境 林内の地上
褐色
形状 茶碗型で裏にしわひだがある
大きさ 直径5~6cm
似ている
きのこ
ノボリリュウタケ


キツネノワン

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キツネノワン

キツネノワンの特徴

発生時期 春~初夏
分布地域 日本
発生環境 桑の樹下(実が白変している木)
褐色
形状 茶碗型
大きさ 直径5~15mm
似ている
きのこ
チャワンタケのなかま

 

シロキツネノサカズキ

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シロキツネノサカズキ

シロキツネノサカズキの特徴

発生時期 春〜夏
分布地域 日本・中国
発生環境 落枝(材)
オレンジ色
毛の色
柄の色
大きさ 直径3~10mm
似ている
きのこ
シロキツネノサカズキモドキ

 

タマキクラゲ

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タマキクラゲ

タマキクラゲの特徴

発生時期 春~秋
分布地域 日本・韓国
発生環境 ブナ科広葉樹の落枝(材)
褐色
形状 球状~薄板状
大きさ 2~4㎝
似ている
きのこ
キクラゲ

詳しい記事はこちら↓

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ツチグリ

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ツチグリ

ツチグリの特徴

発生時期 春~秋
分布地域 世界的
発生環境 林内の斜面
灰褐色
形状 球状で外皮が星形に裂ける
大きさ 直径2~3cm
似ている
きのこ
エリマキツチグリ・シロツチガキ

詳しい記事はこちら↓

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ツバキキンカクチャワンタケ

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ツバキキンカクチャワンタケ

ツバキキンカクチャワンタケの特徴

発生時期
分布地域 日本・北アメリカ
発生環境 椿の樹下(地)
褐色
形状 茶碗型
大きさ 直径3~18mm
似ている
きのこ
チャワンタケのなかま

詳しい記事はこちら↓

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ナラタケ

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ナラタケ

ナラタケの特徴

発生時期 春・秋
分布地域 世界的
発生環境 広葉樹・針葉樹の枯木(材)
傘の色 淡黄褐色
ヒダの色 白のち褐色のしみを生じる
柄の色 淡黄褐色
大きさ カサの直径4~15㎝
似ている
きのこ
ナラタケモドキ

注意:ナラタケにはキツブナラタケやクロゲナラタケなどいくつか種類があると言われていますが、まだ分類されていません。

 

ニガクリタケ

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ニガクリタケ

ニガクリタケの特徴

発生時期 春~秋
分布 世界的
発生環境

広葉樹・針葉樹の枯幹・切株(材)

傘の色 硫黄色
ヒダの色 オリーブ色のち紫褐色
柄の色 硫黄色
大きさ カサの直径2~3㎝
似ている
きのこ
クリタケ

クリタケと比較した記事はこちら↓

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ハルシメジ

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ハルシメジの一種

ハルシメジの特徴

発生時期
分布地域 北半球温帯
発生環境 梅や桜の樹下(地)
傘の色 灰褐色
ヒダの色 白のちピンク色
柄の色
大きさ カサの直径6~20㎝
似ている
きのこ
クサウラベニタケ

注意:ハルシメジにはウメハルシメジやノイバラハルシメジなどいくつか種類があると言われていますが、まだ分類されていません。

 

ハルシメジのたのしい回文はこちら↓

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血の滴る病み系きのこ!?フリルスカートのチシオタケに会いに行く☆きのこ観察に出かけよう☆

こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。

 

アウトドア流行りの昨今、キャンプや登山を始めてみた方も多いのでは?そんなあなたに外遊びのついでにきのこ観察をおすすめします。

 

今日はラブリーな姿が人気のチシオタケに会いに行きましょう。

 

チシオタケってどんなきのこ?

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フリルスカート風の傘がかわいい
  • 傘と柄はくすんだピンク色~赤茶色
  • 傘の大きさは1~3.5cm
  • 傘のふちにフリンジがある
  • ヒダは傘より淡色
  • 柄は中空
  • 傷つけると暗赤色の液が出る

傘のふちのフリンジがフリルスカートのように見えてとてもメルヘンチックです。色は個体によって赤に近い色だったり、茶色に近い色だったり、白っぽかったり、幅がありますが、フリンジがついているのは他のきのこに見ない特徴なので見分けることは容易です。

被写体として優秀ですし、とても人気のあるきのこです。

 

チシオタケの名前の由来

傷つけると血のような暗赤色の液が出るため、血潮茸と名が付きました。

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血が滴る

血潮ってなかなか使わない言葉ですよね。私は「手のひらを太陽に」という歌の歌詞でしか口にしたことはないです。手のひらを太陽に~透かして見れば~真っ赤に流れる~ぼくの血潮~♪

 

このチシオタケの血がけっこう生々しい色なので、生きいてる!!って感じがします。ぼくらはみんな生きている♪

 

チシオタケはいつ・どこで会えるの?

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会えるとうれしい

夏から秋に広葉樹の朽木に発生します。

倒木や朽木をそのまま残してあるような、あまり手を入れすぎていない里山や登山道などで見つけられると思います。公園は倒木などをすぐ片づけてしまうので、あまり見かけない印象ですね。

 

山であればよく見かけますので、朽ちた倒木があったら少し立ち止まり裏側や下の方を覗いてみてはいかがでしょうか。時期も長く見られ、会うのは難しくありません。(でも探そうとすると見つからないのよね、それがきのこの世界)

 

傷つけて、癒されて

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あなたの手で傷つけられたの……

きのこ観察を始めた最初のころは、チシオタケに傷を付けることに罪悪感がありました。でも、同定(きのこの種類を見分けること)のためには大事な特徴ですから、観察のために「ごめんね」と言いながら流血させたものです。

 

それが今はどうでしょう、流血させることに、得も言われぬ快感と癒しが……。あ~、いい感じの流血写真をもっと撮りたい!

いえいえ、変な意味ではなく(笑)、生物としてとても面白いと思うのです。きのこの傘をちょっと傷つけたからといって、生態に影響を及ぼすようなものではありませんから、みなさんもチシオタケを見つけた際には一度傷つけて、不思議な体験をしてみてください。

 

チシオタケファミリー

チシオタケには似たきのこがあります。見た目がかなり異なるので間違えることはないと思います。

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ヒメチシオタケ
 ヒメチシオタケ

チシオタケによく似ていますが、とても小さなきのこです。

 アカチシオタケ

傘は黄褐色で柄が赤く、橙色の液が出ます。

どちらもチシオタケより珍しいので、あまり見かけません。特にアカチシオタケは主にブナの倒木に生えるため、標高1000m前後のブナ帯へ行かなければなりません。アカチシオタケに会うには登山が必要です。

 

おわりに・サディスティックを引き出すきのこ

ついつい傷つけて流血させたくなってしまう、人のサディスティックな部分を引き出すチシオタケ。何度か見つければ傷つけなくても同定(きのこの種類を見分けること)ができると思います。

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群生していることが多い

見つけるとお決まりのように血を流したくなりますが、古くなった個体だと血が流れません。でもガッカリしないで。よく考えたら、血が流れなくてもかわいいきのこではないですか?

フリフリのフリンジがクリっと外側に反り返って、スカートの裾が風になびいたかのような魅惑のフォルムです。ちょっとマットな質感の柄もスリガラスのような繊細さ。見れば見るほどおしゃれなきのこですね!

 

きのこのかわいさ知らしめたい!きのこってかわいい。きのこってふしぎ。きのこっておもしろい。みなさんもフリルスカートのかわいいチシオタケに会えるといいですね。

 

つやつやの傘に心が躍る♪愛されきのこハナイグチに会いに行く☆きのこ観察へ出かけよう☆

こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。

 

きのこって種類がたくさんあって覚えるのが大変。第一歩として、たくさん見ることが必要ですね。そんなあなたにきのこ観察をおすすめします。

 

今日は覚えやすく愛らしいハナイグチに会いに行きましょう。

ハナイグチってどんなきのこ?

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似ているきのこがあまりないハナイグチ

ハナイグチは以下の特徴を持っています。

  • 傘は赤茶色で粘液に包まれる
  • 傘の直径4~10cm
  • 傘の裏側は若いうちは膜で覆われる
  • 成長すると傘裏の膜がやぶれツバとなる
  • 管孔は黄色のち褐色を帯びる
  • 柄は黄色からさび色
  • ツバより下の柄は粘性を帯びる
  • 肉は鮮黄色
  • 傷つけても変色しない

つやつやの傘のおかげで見つけやすいきのこです。ある程度大きさがあり、発生量も多いので、タイミングが合えば見つけるのは難しくないでしょう。

 

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管孔は鮮やかな黄色

激しいぬめりを持った赤茶色の傘や、木の皮のようなまだらな柄の色合いが特徴的で覚えやすい初心者向けのきのこだと思います。また、裏返してみると、ツバだけでなく傘のふちにもやぶれた膜のなごりがあったりするのも特徴です。

 

ハナイグチはいつ・どこで見られるの?

秋にカラマツなどの針葉樹の根元で見られます。

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カラマツ林でよく見つかる

特に長野県や北海道では秋になれば毎年食べる人も多いメジャーな食用きのこです。関東ですとむしろハナイグチを知らない人の方が多いですよね。カラマツと共生するため、ある程度標高の高い場所でしか見られないきのこですから、関東平野には生えません。ハナイグチに会いたければ、カラマツのある高原などに行きましょう。

また、栽培ができない菌根菌という種類のきのこのため、流通が難しく食卓に上りにくいのです。

 

ちなみに、北海道のカラマツは明治時代に長野県から移植され、そのときにハナイグチも木について移植されたと言われています。北海道のハナイグチは明治期以降に定着した種なんですね。意外だと思いませんか?

 

菌根菌について解説した記事はこちら↓

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先日長野県にきのこ狩りに行った際も、かわいいハナイグチが見つかりましたよ♪動画には私ちょこすき~☆も出演しています!

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ハナイグチは黄色型もある

ハナイグチは赤茶色の傘のほかに、全体が黄色っぽいものもあります。

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ハナイグチ黄色型

日本で見られるハナイグチはほとんどが赤茶色の傘のものですが、まれに黄色型が見つかります。ハナイグチ自体は珍しいきのこではないので、カラマツ林があればだいたいあるのですが、黄色型となると私は一か所でしか見かけたことがないのでとても珍しいと思います。

でも、日本では黄色型が珍しいのに、世界的には黄色型が主流らしいのです。不思議ですね。ハナイグチは日本の他、ヨーロッパ、ロシア、中国、北米などに分布します。オセアニアの一部にもありますが、こちらは北海道と同様にカラマツの移植に伴い移ったと考えられています。

 

ハナイグチの名前の由来と別名

ハナイグチは、花が咲き乱れるようにたくさん発生するイグチだからハナイグチと呼ばれているという説があります。イグチとは、傘の裏がスポンジ状の管孔になっているきのこのなかまを言います。

 

ハナイグチは「ジコボウ」「リコボウ」「ラクヨウ」などたくさんの地方名(別名)を持ったきのこです。地方名があるというのは、それだけ各地で愛されている証拠ですね。

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ころっとしたフォルムがかわいい

ジコボウとは時候坊のことで、秋の時候を知らせるきのこだからこう呼ばれているそうです。リコボウはジコボウの転訛のようです。

ラクヨウは針葉樹なのに落葉するカラマツに生えるからラクヨウキノコと呼ばれるようになったとか。

 

おわりに・愛されきのこハナイグチ

ハナイグチは覚えやすく、きのこ狩り初心者にとっても間違いが少ないですが、それでもはじめは詳しい人と一緒に採りましょう。間違いやすい毒きのこはないですが、きのこは図鑑の写真とは違った姿であることが多いので覚えるまでは安心できません。

ハナイグチは虫にとってもおいしいきのこのようで、大変虫が入りやすいきのこです。採る前に、虫食いがないかチェックしてからきれいなものを選んで採りましょう。間違いにくく、たくさん発生するのでついついたくさん採りたくなってしまいますが、むやみやたらに採らないように気を付けましょう。

採る量は最小限に、虫や動物たちにもきのこを残しておいてあげてくださいね。

加えて注意すべき点は、ハナイグチは放射性セシウムをため込みやすい性質があるため、採取する前にその場所の放射線量を調べる必要があることです。

きのこ狩りがさかんな地域では、毎年各自治体が放射線量を調査して公表してくれていますので、そちらを参考にするとよいかと思います。

放射性物質の影響は数十年後に現れます。今食べて何ともなくても、自身の将来だけでなく子孫への影響も考えて、野生きのこを食べるリスクに注意しましょう。

 

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うるつやかわいい

間違いやすい毒きのこがないということも、ハナイグチが愛されている要因のひとつなのでは?と考えています。

そして、ハナイグチが愛される最大の理由はそのかわいらしいフォルムにあると思っています!ですから、きのこ狩りでハナイグチを見つけた際にはかわいい姿をぜひたっぷり愛でてくださいね。

 

きのこのかわいさ知らしめたい!きのっこってかわいい。きのこっておもしろい。きのこってふしぎ。みなさんもつやつやぽってりかわいいハナイグチに会えるといいですね。

 

ハナイグチをテーマにしたすてきな歌はこちら↓

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秋本番の10月上旬、長野県にきのこ狩りに行ってきました!【動画あり】

10月上旬のとある週末、長野県にきのこ狩りに行ってきました。

長野県出身のお笑い芸人『坂井きのこ』さんの案内で許可を得ている山に入り、旬のきのこ探し!

慣れない山道に苦戦しながらもクリタケやホンシメジ、ハナイグチ、ベニテングタケなどを見ることができ、充実した長野遠征となりました。

その様子の一部を、10月中旬に開催された『ヨコハマきのこ大祭オンライン』用に動画にまとめましたので、せっかくなので関東きのこの会のサイトでも公開します。

ぜひご覧ください!

 

 

長野県きのこ狩り動画

 

動画に出演している主なメンバー

 

注:ちょこすき~☆さんはハナイグチやクリタケのことをよくご存知ですが、動画が分かりやすくなるようにわざと知らないフリをしてくれていますw

そんなちょこすき~☆さんが書いたクリタケの記事はこちら!

www.kanto-kinoko.com

 

また、今回の散策の様子をnoteにまとめてくれているので、ぜひこちらもご覧ください。

 

10月上旬に長野県の山で見られたきのこ達

動画にアップしたきのこは一部で、実際はもっとたくさんの種類に出会う事が出来ました。

ここで紹介いたします。

  • ムラサキナギナタタケ
  • トビイロノボリリュウ
  • クリタケ
  • ニガクリタケ
  • ホンシメジ
  • コウタケ
  • ハナイグチ
  • ヒメベニテングタケ
  • ベニテングタケ

 

ムラサキナギナタタケ

ムラサキナギナタタケ

おどろおどろしい雰囲気がカッコいい!

何株か生えていました。

 

トビイロノボリリュウ

トビイロノボリリュウ(ヒグマアミガサタケ)

材からたくさん発生していたトビイロノボリリュウ、別名ヒグマアミガサタケ。

これまたかっこよいきのこです。

 

クリタケとニガクリタケ

クリタケとニガクリタケ

誤食による食中毒が起きやすい、左:ニガクリタケ(毒)と右:クリタケ(食)の比較写真。

良い資料写真が撮れました。

 

ホンシメジ

ホンシメジ

優秀な食菌として名高いホンシメジも生えていました!

あの『匂い松茸、味しめじ』のしめじは、ブナシメジでは無くてこのきのこを指しています。

 

コウタケ

コウタケ

今回の遠征の目標の一つは、このコウタケを見ることでした。

若干時期がずれて老菌ばかりでしたが、発生地の周囲には良い香りが漂っていました。

 

ハナイグチ

ハナイグチ
ハナイグチ

別名『リコボウ』。

優秀な食菌できのこ狩りのメインターゲットです。

 

ヒメベニテングタケ

ヒメベニテングタケ
ヒメベニテングタケ

ミニサイズの可愛らしいきのこ。

ベニテングタケに似た形状で、サイズが小さいから『ヒメベニテングタケ』なのだと思います。

 

ベニテングタケ

ベニテングタケ
ベニテングタケ

赤いカサに白い斑点が特徴のとても可愛いきのこ🍄

実はこの遠征の一週間前も、このきのこを見たいがために一人で長野県に日帰り行脚したのですがその時は出会えず・・・

今回は坂井さんの案内で無事出会う事が出来ました!

感動!

 

その他の可愛いきのこ達

その他にも多種多様なきのこに出会う事が出来ました。

ベニタケ
モエギタケ
ロクショウグサレキンの仲間
ドクベニタケ

長野県ってすごい!

 

収穫した天然きのこは美味しくいただきました!

収穫したクリタケやハナイグチなどの食菌達は、家に連れ帰り汚れを落として佃煮にしました。

天然きのこの佃煮
天然きのこの佃煮

 

長く楽しめるかなと思って佃煮を選択したのに、美味しくてあっという間に完食!

ただ、佃煮だと全部味が均一になってしまうので少しもったいなかったかも。

次はきのこ毎の特徴や味を活かした料理法を、坂井きのこさんに教えてもらおうと思います。