猛毒なのに食用って!?唐揚げ風フォルムがふしぎなシャグマアミガサタケに会いに行く☆きのこ観察に出かけよう☆

こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。

 

爽やかな晴れ間にはおでかけしたくなりますね。そんなあなたにきのこ観察をおすすめします。きのこは春から秋にかけて季節ごとに違う種類が出るので、秋以外でもきのこは見られるんですよ。

 

今日は猛毒きのこのシャグマアミガサタケに会いに行きましょう。

 

シャグマアミガサタケってどんなきのこ?

ちょっと不気味な形

シャグマアミガサタケは以下の特徴を持っています。

  • 頭部は不規則な形
  • 頭部は脳みそ状のしわや凹凸がある
  • 頭部は黄褐色~赤褐色
  • 柄は浅い縦皺がある
  • 柄は白っぽい
  • 中は空洞
  • 高さ5~15cm

ぐちゃぐちゃとした形がちょっと不気味です。結構大型のきのこなので、生えているとびっくりします。場合によっては15cm以上になることもあり、写真のシャグマアミガサタケは握りこぶしより大きかったです。

 

誰が言ったか森の唐揚げ

上から見ると、唐揚げが落ちているみたい。おもしろいきのこですね。

 

シャグマアミガサタケの名前の由来

アミガサタケとは属が異なる

シャグマアミガサタケは赭熊網笠茸(または赤熊網笠茸)と書きます。赭熊とは赤く染めたヤクの毛のことで、日本では兜の飾りや払子(仏具の一種)などに使われた装飾用のものです。ヤクとはチベット高原などに生息する毛の長いウシ科の動物です。

頭部の赤みのある色合いと、アミガサタケに似ていることから、シャグマアミガサタケという名前になりました。

 

アミガサタケと名前がついていますが、アミガサタケとは属が異なるきのこです。

シャグマアミガサタケは、フクロシトネタケ科シャグマアミガサタケ属です。まぎらわしいですね。

 

アミガサタケの記事はこちら↓

www.kanto-kinoko.com

 

シャグマアミガサタケはいつ・どこで見られるの?

針葉樹の森

シャグマアミガサタケは春~初夏に針葉樹林や混交林の地上で見られます。マツ・モミ・トウヒなどのある、標高の高い場所が好きなようです。平地でもスギやヒノキのある場所でまれに見られることがあります。

 

富士山では5月はじめに麓で出始め、5月の終わりには3~4合目付近に出ます。標高を変えながら長い間観察できるきのこなんですね。富士山のシャグマアミガサタケはとっても大きいので、見つけるとテンション上がりますよー!

ウスタケなどもそうですが、富士山のきのこは総じて平地より大型になりやすいのかもしれませんね。(もちろん普通サイズもあります)

 

シャグマアミガサタケに似たきのこ

シャグマアミガサタケには似たきのこがいくつかあります。

  • オオシャグマタケ
  • ヒグマアミガサタケ(別名トビイロノボリリュウ)
  • アミガサタケ
  • マルミノノボリリュウ

オオシャグマタケはシャグマアミガサタケより色が薄く大型になりやすいとのことですが、肉眼では判別できないほど似ている個体もありますので、正確な同定には顕微鏡が必要です。

これは秋に出るヒグマアミガサタケ(別名トビイロノボリリュウ)

ヒグマアミガサタケは発生時期が秋であること、頭部の皺があまりないことで見分けることが可能です。

アミガサタケは網目が深く形も規則的ですし、シャグマとはあまり似ていないので、知っていれば間違えることはないでしょう。

マルミノノボリリュウは頭部の皺があまりないようです。

 

猛毒なのに食用として販売されている

シャグマアミガサタケは猛毒きのことして有名です。

シャグマアミガサタケの中毒症状

採取したものをそのまま食べれば、食後7-10時間後に吐き気・嘔吐・激しい下痢と腹痛、けいれんなどを起こします。

重症の場合には肝障害を起こし、黄疸・発熱・めまい・血圧降下、そして脳浮腫による意識障害・消化器官からの出血、最悪の場合には2-4日で死に至ることがあります。

ヨーロッパでは食用として扱われる

シャグマアミガサタケの毒成分

その毒成分はギロミトリン〔化学式:C4H8N2O〕で、それ自体も有毒ですが、不安定なため揮発性のある有毒物質モノメチルヒドラジン〔化学式:CH3(NH)NH2〕に加水分解されやすい物質です。

シャグマアミガサタケを茹でるとギロミトリンが加水分解によりモノメチルヒドラジンになり、ゆで汁の中に溶けだし、また沸点が148℃(ギロミトリン)から87℃(モノメチルヒドラジン)になるため蒸気とともに揮発します。この蒸気を吸うと中毒するという訳です。危険!!当然ですが毒成分の溶けだしたゆで汁も危険です。

 

シャグマアミガサタケの毒抜き

10分以上煮沸するとギロミトリンやモノメチルヒドラジンのほとんどが分解されると言われています。ヨーロッパではこの毒抜きしたシャグマアミガサタケを食用としているのですね。乾燥品や缶詰などで販売されています。

蒸気を吸うだけで危険なため、毒抜きは風通しの良い場所で蒸気を吸わないように行わなければなりません。屋内や人の往来がある場所ではやらないように!(って普通の人はやらないよね・笑)

 

モノメチルヒドラジンは、強力な酸化剤(過酸化水素、四酸化二窒素、塩素、フッ素など)と接触すると自然発火する可能性があり、ロケットエンジンの推進剤としても利用されています。きのこの話から化学物質の話になりさらにはロケットの話まで。

すごいぞシャグマアミガサタケ!

 

おわりに・不気味だけど魅力的なきのこ

ちょっと不気味で、見つけるとびっくりしてしまうきのこですが、私はずっと会いたい憧れのきのこでした。猛毒なのに食用とされていたり、唐揚げみたいな不思議な形がユーモラスで、さらにはロケットの話まで。とても魅力的な要素にあふれています。

スミレと一緒に出ていてかわいい

なかなか自宅近くでは会えないきのこですから、きのこの趣味を始めてから何年も出会うことができませんでした。きのこってはじめて出会うまでの最初の一歩が難しいんですよね。実際に生えている場所や環境を見ると、なぜかその後探しやすくなるんです。そうやって経験を重ねていくときのこが好きそうな場所が分かってくるのです。

 

きのこのかわいさ知らしめたい!きのこってかわいい。きのこってふしぎ。きのこっておもしろい。みなさんも奇妙なシャグマアミガサタケに会えるといいですね。