一晩で溶けるキノコ、ササクレヒトヨタケのタイムラプス動画を撮ってみた!

先日、ネット通販で変り種キノコをチェックしていたら、面白い商品を見つけてしまいました。

 

『きのこの畑 コプリーヌ!』

きのこの畑 コプリーヌ

 

そう、家庭でコプリーヌというキノコを育てることができる栽培キットです!

『コプリーヌ』という名前は聞きなれない人が多いかもしれません。

和名はササクレヒトヨタケと言いまして、コプリーヌは栽培品を販売する際の商品名にあたります。

幼菌時はとても美味しいキノコで、日本でも長野県や静岡県で栽培されているのは知っていたのですが、栽培キットがあるのは初耳。

さっそくポチってお家でササクレヒトヨタケ栽培に挑戦してみることにしました!

 

このキノコ、『美味しい』という事以外にも実はもう一つ特徴があります。

それは、成長すると一晩で溶けてしまう事。

そのため食材として流通しているコプリーヌは、溶ける前の幼菌時に収穫してパックされています。

だから普段は溶ける様子はなかなか見られませんが、自宅で育てる栽培キットならその過程もじっくり観察できるかも!

せっかくの機会なので、前からやってみたかった『ササクレヒトヨタケが溶けていく様子』の動画撮影に挑戦してみることにしました。

 

初のタイムラプス動画でアングルなどに悪戦苦闘ましたが、何とか撮影に成功。

ということで、まずは完成した動画を見ていただきましょう!

 

 

面白いでしょう?!

それでは、栽培キットの詳細や、ササクレヒトヨタケのタイムラプス動画の撮影方法などを詳しく紹介していきます。

 

 

ササクレヒトヨタケ(コプリーヌ)とは

コプリーヌ(ササクレヒトヨタケ)

ササクレヒトヨタケは春~秋にかけて畑や草地に生えるキノコです。

長細い卵のような形の白いカサに茶色いササクレが多数あり、これが名前の”ササクレ”の由来。

また、”ヒトヨタケ(一夜茸)”は、成菌になると自分で分解酵素を出し、一晩で溶けてしまうことから来ています。

そう、このキノコは大人になった途端に溶けてしまうという悲しい運命を背負っているのです。

そんなササクレヒトヨタケですが美味しい食菌でもあり、『コプリーヌ』という商品名で流通・販売されています。

販売中に溶けてしまわないよう幼菌の状態で収穫・パッケージされ、その形状から市場では”つくしたけ”とか”こけしたけ”とも呼ばれます。

 

『この自分で自分を溶かしてしまうという性質が特徴的すぎて、そこばかりピックアップされちゃうのが悲しいんだよね』

とは、長野県のコプリーヌ生産者さんの弁。

しかーし、このキノコはめちゃくちゃ美味しいです!

軸部分は食感が良くダシもよく出るので、炒めて良し、汁物に良しの万能食材。

生産量が少ないためなかなか売っていませんが、スーパーなどで運よく見つけたらぜひお試しください!

軸の食感が楽しいコプリーヌパスタ(ペペロンチーノ風)

軸の食感が楽しいコプリーヌパスタ(ペペロンチーノ風)

 

薬膳鍋屋さんで出てきたコプリーヌ

薬膳鍋屋さんで出てきたコプリーヌ

 

コプリーヌについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

www.kanto-kinoko.com

 

ササクレヒトヨタケ栽培キット『きのこの畑』を入手!

ササクレヒトヨタケ栽培キット『きのこの畑』

某ネットモールで購入してから待つこと数日、ササクレヒトヨタケ栽培キット『きのこの畑』が届きました!

販売元は静岡にある『日本農林種菌株式会社』さん。

種菌というくらいだから、きのこ専門の種菌メーカーでしょうねぇ。

他にはマッシュルーム栽培キット、アラゲキクラゲ栽培キットなどを販売しているようです。 

 

栽培キットの中身(4点セット)

コプリーヌ栽培キットの中身

  1. 菌糸が蔓延した状態の菌床
  2. 保湿のための赤玉土
  3. ビニール袋
  4. 説明書

 

その他、自分で準備しておくもの

  1. ハサミ
  2. スプーン
  3. 新聞紙など下に敷けるもの

 

ササクレヒトヨタケ栽培キットのセッティング方法

それでは早速、栽培準備をしていきましょう!

セッティング自体は非常に簡単で、10分もあれば出来てしまいます。

  1. 菌床袋をカットする
  2. 菌掻き(きんかき)
  3. 湿らせた赤玉土を掛ける
  4. ビニール袋を掛ける

 

1.菌床袋をカットする

箱の中から培地を取り出し、フィルターの真ん中あたりをハサミでカットして箱に戻します。

 

2.菌掻き(きんかき)

ササクレヒトヨタケの栽培キット セッティング

スプーンで菌床の上部を1cmくらい削って平に整えます。

菌掻き(きんかき)という行程で、これが刺激になってキノコの発生が始まります。

 

3.湿らせた赤玉土を掛ける

ササクレヒトヨタケ栽培キットのセッティング

赤玉土に十分に水を含ませてから、菌床の上に均等に掛けていきます。

これは菌床の乾燥を防ぐためで、栽培期間中は赤玉土が乾いたら霧吹きなどで水を与えます。

 

4.ビニール袋を掛ける

保湿のためのビニール袋をかけたら、セッティング完了です。

 

ササクレヒトヨタケ栽培キット 日々の管理方法

コプリーヌ栽培 日々の管理

セッティング後は、直射日光の当たらない室内で、毎日愛でながら管理していきます。

赤玉土が乾燥したら表面を湿らせる程度に霧吹きを使用して散水します。

尚、コプリーヌの栽培適温は18~24℃

発生までの目安は14~21日とのことです。

 

iPhoneでタイムラプス撮影してみた

さて、問題はどうやってコプリーヌが成長する様子を動画に収めるか。

定点観測カメラもいろいろな種類が出ているようですが、安くて高性能なものがなかなか見つからず(そりゃそうだ!)。

1万円くらいで性能がイマイチな定点観測カメラを購入するなら、いっそのこと中古のiPhoneを買ってタイムラプス撮影してみるのはどうか、と思い立ちました。

 

タイムラプスは、一定間隔で撮影された写真をつなぎ合わせてパラパラ漫画のような動画にしてくれる、iPhoneのカメラに標準装備されている機能です。

要は定点観測カメラと同じですよね!

あまり使ったことが無い機能だったのですが、いろいろテストしてみると簡単に希望に近い動画が撮れることが分かりました。

 

ただし、細やかな設定が出来ないというデメリットもあります。

定点観測カメラならどのくらいの間隔で撮影するか、1秒で何枚の静止画を再生するか、などの設定が出来ますが、iPhoneでは一切設定できません。

どんなに長く撮影しても全部30秒以内に収まるそうです。

・・・まあ、皆さんに見てもらうのに、30秒ってちょうど良いくらいかも。

ということで思い切って中古のiPhone7を購入しちゃいまいた!

こりゃあ今後もたくさん動画撮影しないと割に合わないぞ・・・

 

栽培キットの撮影環境を整える

栽培キットのタイムラプス撮影を行うにあたり、環境を整えてみました。

栽培キットの撮影環境

 用意したのはこちらの4点です。

  1. 卓上に置ける簡易ビニールハウス(1,700円くらい)
  2. 保湿機(980円)
  3. LEDライト(持っていたもの)
  4. スマホ用三脚(持っていたもの)

(これを揃えた辺りで奥さんに怒られました!)

 

また、栽培キットは箱から出し、菌床袋も赤玉土から1㎝くらい上部でカット。

これで撮影しやすくなりました。 

 

ササクレヒトヨタケが成長する様子

10月18日にセッティングしてからちょうど一週間後、赤玉土の上に白い綿状のものが沢山出てきました。

カビじゃないことを祈ります・・・

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

そこから更に1週間後、白い綿状のものは徐々に無くなり、代わりに卵状の物体が形成されました。

たぶんキノコです。よっしゃ。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

そこからまた約1週間後。

ササクレヒトヨタケで間違いなさそうです。

4本生えてきました。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

11月11日、長野県きのこの日のササクレヒトヨタケ。

なんか営業時代に扱っていた『コプリーヌ』よりだいぶ肉厚な感じ。

環境が良いのだろうか?

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

翌日の11月12日、一番大きな株が何か危険な角度になってきているような・・・

ササクレヒトヨタケが成長する様子


翌11月13日。

ギャー、やっぱり倒れてる!!

ササクレヒトヨタケ栽培キットの様子

慌ててビニールハウスの外側から撮影しています


自重に耐え切れずに倒れてしまったようです・・・

重さを量ってみた所、1本で163gもありました。

市販品は4〜7本くらい入って60gパックなので、10倍以上のサイズという事に。

こんなに大きくなるとはびっくり!

そりゃあ倒れますよね。

コプリーヌ栽培キットの様子


ソテーで美味しく頂きました。

コプリーヌのソテー

 

諦めずに残った3本で撮影再開です。

ササクレヒトヨタケの栽培の様子

 

翌11月14日。

なんだか成長スピードが上がったようで、ぐんぐん大きくなります。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

その日は土曜日で仕事が休みだったため、栽培部屋でゴロゴロ過ごしていました。

その時です・・・コトリという不吉な音がしたのは。

また、倒れた。。。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

なかなか溶けるところまで撮影できません。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

重さを量ってみたら2本で222g


2本は野菜炒めに入れて、美味しくいただきました!

さて、残すは1本のみ。

この子が成菌になるまで育ってくれることを祈ります。

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

11月15日のササクレヒトヨタケ。

カサのマクが切れて心なしか開いてきました。

今までの子と違いまっ直ぐ上に成長しています。

成菌までもうすぐ!

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

11月16日、セッティングからほぼ1か月後。

ついにその時はやってきました。

と、とけたー!!

ササクレヒトヨタケが成長する様子

 

成長してカサが開いてくると共に黒く変色し始め、一晩より少し長く、約1日で写真のような状態になりました。

黒い液体がぽたぽたと滴っています。

この中にササクレヒトヨタケの胞子が含まれていて、地面に落ちることで子孫を残していくのだそう。

想像していたよりすごい溶けっぷり!

一方、軸は全く溶けていません。 

カサだけが上手に溶ける仕組みなのですね。

キノコって不思議です。

 

ということで、この一連の流れを撮影したのが冒頭の動画になります。

自分の予想より大きく育ち、自重で倒れてしまったりカメラからはみ出てしまったため、何度もカメラのアングルを微調整することになってしまったのが心残り。

とはいえ、初回にしては満足のいく動画になりました!

せっかく環境を整えたので、これからもいろいろな栽培キットの動画撮影に挑戦していきたいと思います。

 

ササクレヒトヨタケのタイムラプス動画、のまとめ

  1. ササクレヒトヨタケの栽培キットが販売されている
  2. ササクレヒトヨタケは成菌になると自分で分解酵素を出して溶けてしまう
  3. とっても美味しいキノコです!

 

おまけ:溶けたササクレヒトヨタケで字や絵が書ける

ササクレヒトヨタケが溶けた黒い液体は想像以上に濃く、手についたらちょっとこすったくらいでは取れません。

実はこの黒い液体、インクにもなるのです!

実際にササクレヒトヨタケの液体で絵を描いていらっしゃる方がいます。

本当にやるのがすごい!

このインクにもなる特性のためか、ササクレヒトヨタケは英語でシャギーインクキャップと呼ばれています。