バイリングやフラワーえのきを栽培している竹内きのこ園に工場見学に行ってきた【長野県中野市】

中野市の看板『えのき氷』

先日、長野県中野市にある『竹内きのこ園』に工場見学に行って来ました。

竹内きのこ園はきのこ工場としては決して大きい規模ではありませんが、珍しい『バイリング』というきのこや、形がかわいい『フラワーえのき』などの栽培に挑戦していて、業界ではかなり名前が知られています。

バイリング
フラワーえのき
左:バイリング、右:フラワーえのき

テレビなどのメディア出演も多いきのこ屋さんです。

今回は、代表社員の竹内 篤史さんにご案内いただき、竹内きのこ園の工場内の様子を動画に撮らせていただきましたので、ぜひご覧ください。

 

 

竹内きのこ園の工場見学動画

竹内きのこ園さんでは『えのき』と『バイリング』というきのこを、2つの工場に分けて生産しています。

そこで、前編の動画ではえのき工場の様子を。

後編の動画では、培地製造とバイリング工場の様子に分けて編集しました。

 

≪前編:えのき工場の様子≫

 

≪後編:培地製造とバイリング工場の様子≫

 

竹内きのこ園のきのこの生産工程

竹内きのこ園さんのきのこの生産工程をまとめました。

えのきとバイリングは、どちらも『菌床ビン』というプラスティック瓶を使用して栽培するタイプのきのこで、大まかな生産工程は同じです。

ただし、栽培にかかる日数や温度帯などは全く異なるため、同じ部屋で栽培することは出来ません。

 

  1. 培地原料の攪拌
  2. 培地詰め
  3. 培地の殺菌・冷却
  4. 種菌の接種
  5. 培養
  6. 菌掻き
  7. 生育
  8. 収穫

 

1.培地原料の攪拌

きのこの畑となる『培地』の原料を混ぜ合わせます。

主な原料は、乾燥したトウモロコシ芯の粉末やおからなどで、そこに水を加えて大きな機械で練り合わせます。

1回で 本分の菌床原料を混ぜ合わせるそうです。

 

2.培地詰め

攪拌した培地原料を菌床ビンに詰めていきます。

この作業は、ビンに詰めるところからフタをするところまで機械化されていました。

尚、ビンに原料を詰めた後、真ん中に棒を突き刺して菌床内に空間を作っておきます。

これは、この後接種するきのこの菌を、菌床内に早く蔓延させるためだそうです。

 

3.培地の殺菌・冷却

詰めたばかりの菌床には雑菌がたくさん含まれているので殺菌が必要です。

竹内きのこ園さんでは『殺菌釜』を保有していて、その中に菌床を入れて8時間加熱殺菌を行います。

その後、きのこ菌を接種できる温度まで冷却します。

 

4.種菌の接種

菌床にきのこの種菌を接種します。

ちなみに、種菌と言っても植物の『種』とは異なります。

きのこの菌糸が蔓延したオガクズなどで、それを砕いて菌床に振りかけるイメージです。

種菌の接種は、雑菌が入ると最悪きのこが全滅してしまう事態もあり得るため、ルールを設けて慎重に行われます。

クリーンな部屋で衛生着などをしっかり着て、器具も加熱殺菌などをしてから接種するそうです。

当然、接種室は見学NGでした。

 

5.培養

じっくり時間をかけて菌床ビンの中にきのこの菌糸を張り巡らせます。

培地は最初は黒っぽい色をしていますが、培養後期になると菌糸が蔓延して真っ白です。

尚、きのこによって好む温度が異なるため、それに合わせて培養室の温度を変える必要があります。

えのきは低温を好むため 度。

一方、バイリングは 度と全く違います。

また、培養日数もえのきは約3週間ですが、バイリングは3カ月もかかるそうです。

 

6.菌掻き

菌床のフタ付近にある菌糸を機械で掻き取ります。

これは、菌床に刺激を与えてきのこの発生を促すためです。

よく、『雷の落ちた場所にはきのこがよく生える』と言いますが、あれも電気刺激によってきのこの発生が促されるからだと言われています。

菌掻きを行うことで菌床に刺激が与えられ、一斉にきのこが生え始めます。

 

7.生育

生えてきたきのこの芽を、大きく育てる工程です。

一般的なえのき栽培の場合、プラスティックの帯を巻いて軸を長く長く育てます。

ちなみに、えのきは冬のきのこのため生育室はとっても寒い温度設定になっていて、その中でプラスティックの帯を手作業を巻いて行くそうです。

毎日その作業をするんですから、なかなか大変な仕事ですよね。

バイリングは1つの菌床ビンから10個程度の芽が出てきますが、1つだけ残して後は掻き取ってしまいます。

これは、残した1個を大きく育てるためです。

バイリングの生育風景

 

8.収穫

いよいよきのこの収穫です。

収穫したきのこはパッケージされ、店舗やレストラン、加工工場などに出荷されます。

こうして私たちの元に美味しいきのこが届いているというわけです。

 

バイリングの美味しい食べ方

バイリングは食感の良さが特徴のきのこで、その歯応えはアワビに似ているといわれています。

そのため、別名『あわび茸』と呼ばれることも。

そんな歯応えの良いバイリングは、ソテーやステーキなど、食感や風味を活かしたシンプルな料理がおすすめです。

この間は天ぷらにしてみましたが、不思議な食感でとても美味しかったです!

バイリングの天ぷら

 

竹内きのこ園さんでは、バイリングを丸ごと使った加工品なども製造しています。

バイリングの加工品
バイリングの加工品
『刺身きのこ』

 

フラワーえのきの美味しい食べ方

フラワーえのきは、あえて軸を短く育てることでまるで花束のような見た目をしたえのきです。

丸ごと鍋に入れたり、サラダにドーンと乗せたり、可愛い見た目を活かした料理がおすすめです。

きのこ料理研究家のまんぼママが、フラワーえのきのレシピをアップしていますので、ぜひ参考にしてください。

www.kanto-kinoko.com

 

まとめ

バイリングやフラワーえのきを栽培している竹内きのこ園さんの工場の様子を動画で紹介しました。

どちらも美味しいきのこですので、スーパー等で見かけたらぜひ手に取ってみて下さい。

ちなみに、竹内きのこ園の代表 竹内 篤史さんは、きのこ問屋の営業マン時代に大変お世話になった方です。

普段はきのこ工場の一般公開は行っていないのですが、今回は特別に昔のよしみで撮影させていただきました。

竹内さん、ありがとうございました!

露木啓、竹内篤史

左:露木、右:竹内篤史さん