しいたけの軸は食べられます!実はカサより旨味や栄養が豊富なのです

皆さんは、しいたけの軸ってどうしていますか?

しいたけの軸

 

先日、関東きのこの会宛てに、こんな問い合わせが届きました。

しいたけの足ってどこから切ればよいのか良くわからなくて。
毎回どうしようと迷いながら結局軸をほとんど切り落とし、カサ部分だけを使っています。
実際、どこまで食べてよいんですか?

 

・・・それ、ポルチーニの戻し汁を料理に使わずに捨ててしまうのと同じくらいもったいないと思います!

結論から申しますと、しいたけの軸は食べられます。

とても良いダシが出ますし、実は栄養もたっぷり含まれている事が分かっているんです。

もったいないので、捨てないでぜひ料理に使いましょう!

 

 

しいたけの軸は食べられます!

結論から言うと、しいたけの軸は食べられます。

ぜひ捨てずに料理に使ってください。

ただし、1か所だけ食べられない部分があるんです。

軸の先端部分、石づき(いしづき)です。

しいたけのカサ・軸・石づき

 

石づき部分だけ切り落とそう

石づきはしいたけが原木や菌床にくっついていた部分で、固く、木くずなどが付着していることもあるので食べられません。

包丁で、軸の先端部分のみを切り落としましょう。

この固い部分さえ切り落としてしまえば、残りの軸は全部食べることができます。

しいたけの石づきを切り落とす

 

余談ですが、何で石づきって言うんだろう?とGoogle先生で調べてみました。

石づきとは本来、”棒状の道具における柄の先端など、地面につく部分の総称”とのこと。

槍をイメージすると、刃の無い方、柄の先端が石づきです。

しいたけを槍に見立てたのかは分かりませんが、棒状の軸の先端で木につく部分だから、石づきと言うようになったのでしょう。

 

一部の旨味や栄養素はカサより軸の方が豊富!

しいたけの軸には、カサに劣らないどころか、より多くの旨味や栄養素が含まれていることが分かっています。

この表は、群馬県のしいたけ生産者さんが、しいたけをカサと軸に分けて旨味成分などの食味構成要素を分析したものです。

 

生椎茸のカサと軸足部の食味構成要素分析検査結果

  成分 カサ 軸足
うまみ アスパラギン酸
(酸・旨味)
4.5 7.1
グルタミン酸
(酸・旨味)
73.7 71.4
グルタミン酸
(微甘・旨味)
241.4 209.5
アスパラギン
(酸味)
28.7 26.9
甘味 グリシン 21.2 28.0
アラニン 55.3 62.0
トレオニン 27.7 32.8
セリン 29.3 33.2
プロリン 18.9 22.7
その他
アミノ酸
タウリン 0.3 0.3
オルニチン 63.7 143.2
GABA 7.0 15.5
風味
苦味
メチオニン 7.0 4.5
リジン 40.7 52.9
イソロイシン 28.1 27.6
ロイシン 45.1 45.7
フェニルアラニン 14.0 8.0
チロシン 0.0 0.2
バリン 31.9 32.6
ヒスチジン 18.1 18.9
アルギニン 70.5 71.3
システイン 0.0 0.0

(単位:mg/100g)

検査日: 2010年7月30日

検 体:群馬県産菌床椎茸

 

ご覧の通り、旨味のアスパラギン酸や甘味は軸の方が多く、オルニチンに至ってはカサの2倍以上も含まれています。

これだけの旨味や栄養を摂取せずに捨ててしまうのはもったいない!

実際にその旨味を求めて、しいたけの軸のみを選んで仕入れ、ダシとして加工している食品工場もあるくらいです。

 

軸の固さには個体差がある

食べられることが分かったしいたけの軸ですが、実はそのまま調理するには一つ問題があります。

しいたけによって、軸部分が固い場合があるんです。

これは品種や季節、栽培環境などによるもので、そのまま炒めて美味しく食べられる軸もあれば、噛むのが大変な軸もあります。

人によってしいたけの軸は食べる、食べないと結果が違ってくるのも、実は軸自体に個体差がある事が一因になっているのかもしれません。

ちなみに、自分で栽培したりして採れたてのしいたけの軸は水分量が多いからか、ふんわりして柔らかく、特に美味しく感じます(フラシーボ効果かも)。

www.kanto-kinoko.com

 

原木しいたけと菌床しいたけでも軸の固さに違いがある?

『栽培環境の違い』という事は、原木栽培(げんぼくさいばい)と菌床栽培(きんしょうさいばい)で育てたしいたけの軸の固さには違いがあるのでしょうか。

原木栽培:切り倒した木にしいたけの種コマ(菌糸を蔓延させたコルクの様な物)を打ち込み、栽培する方法。
菌床栽培:オガクズと米ぬかなどの栄養源をブロック状に固めた”菌床”に、しいたけの菌を繁殖させて栽培する方法。
品種や環境によっても変わりますので一概に原木だからこう、菌床だからこう、と決めつけられるものではありません。

とはいえ、その栽培方法の特徴から、少しは軸の固さにも影響があるのではないかと私は考えています。

具体的には、室内でしっかり保湿管理をして育てられた菌床しいたけは、軸部分も水分を多く持つのでふっくら柔らかくなりやすいのではないでしょうか。

逆に、自然環境の露地でじっくり育てられた原木しいたけは、比較的軸も固めに引き締まっている感じがします。

左が原木栽培で育ったしいたけ、右が菌床栽培で育ったしいたけです。

左:原木椎茸、右:菌床椎茸

うーん、どちらもかわいい!

 

原木栽培と菌床栽培の違いについて、詳しくは下記記事を参照ください。

www.kanto-kinoko.com

 

固いしいたけの軸の利用方法

固いしいたけの軸は、そのままカサと同じ様に料理に使っても美味しく食べられません。

そこで今回は、しいたけの軸を美味しく食べられる画期的な方法を川柳でお伝えしたいと思います。

 

固いなら 刻んでしまえ しいたけの軸

 

そう、固いなら細めにスライスしたり、みじん切りに刻んでしまえばよいのです!

椎茸のみじん切り

細かく刻んだしいたけの軸を加えて旨味や栄養をプラスし、料理をワンランクアップさせましょう!

 

すぐに使わないしいたけの軸は冷凍保存しておこう

冷凍しいたけの軸

しいたけのカサのみを調理に使い、軸はすぐには使わないという場合もあると思います。

そんな時は、カットしたしいたけの軸を冷凍保存しておきましょう。

必要な時に取り出して、ダシ取り等に利用することが出来ます。

 

しいたけの軸の冷凍保存手順

  1. 石づきを切り落とします。
  2. 軸をカサからもぎ取ります。
  3. 食べやすいサイズに刻み、冷凍可能な保存袋、もしくはラップを巻いて冷凍庫で保存します。

 

冷凍しいたけの軸の使い方

冷凍したしいたけの軸はとても良いダシが出ます。

ですので、スープ等の具として使うのがおすすめです。

味噌汁などの具がちょっと足りない時、さっと冷凍しいたけの軸を取り出しお鍋に追加しましょう。

きのこの風味や栄養がプラスされた、美味しいお味噌汁の出来あがり! 

 

まとめ

  1. しいたけの軸は食べられます
  2. 軸の先端の『石づき』さえ切り落とせばOK
  3. 個体によって軸が固いこともあるので、刻んで使うのがおすすめ
  4. 一部の旨味成分や栄養素はカサより軸の方が豊富

 

いつもしいたけのカサ部分だけを使って、軸の部分はぽいっと捨てていたりしませんか。

かわいそう!

三角コーナーの中で軸が泣いてるかもしれません!ジクジクと。

しいたけの軸は栄養や旨味を豊富に持っているので、ぜひ捨てずに料理にご利用ください。