しめじにカビみたいな白いモフモフが付いちゃってる?!大丈夫、それは食べられるんです【気中菌糸について】

買ったばかりのぶなしめじにカビのような白いモフモフした物が付いていたことはありませんか?

 

『えー!なにこれ、かびてるじゃん!』

 

こちらが現物の白いモフモフが生えたぶなしめじです。

カビ?の生えたぶなしめじ

 

これはちょっと極端な例ですが、きのこにうっすら白い綿のようなもの(出来始めは粉の様な見た目)がカサや軸に付着していることは、実は結構あります。

写真はぶなしめじですがエリンギやヒラタケシメジなどでもこの”白いモフモフ”は発生します。

 

白い綿みたいなのものがくっついてると『カビ?!』って思ってびっくりしてしまいますよね。

 

でもぶなしめじ自体は水っぽくなっていなく、軸もしっかりしてピンピンしています。

つまり劣化しているわけではなく、とてもカビが生える状態には見えません。

  

実はこれ、気中菌糸(きちゅうきんし)といって食べられるんです! 

 

 

ぶなしめじに付いた白いモフモフの正体は気中菌糸

白いモフモフした『気中菌糸(きちゅうきんし)』は、こう見えてもきのこの一部です。

どういうことか、簡単に解説しましょう。

 

きのこはご存知!”菌類” です。

普段は人間の見えないところで糸の様な菌糸(きんし)を伸ばして”生活”しています。

  

きのこの菌糸は枯れ木や枯れ葉などを分解(つまり食事)しながら養分を蓄え成長していきます。 

 

菌糸体が死を覚悟して『子孫を作らなければ!』と思ったとき、菌糸の成長を止めて自分の胞子(植物にとっての種)をばらまくために”子実体”というものをニョキニョキっと生やします。

 

そのニョキニョキっと生えてきた子実体を僕たちは”きのこ”と呼んで食べているんです。

原木椎茸

 

ところが、胞子を撒くために子実体を作ったものの『あれ、まだ胞子撒くの早かったかな?』と何らかの要因で思った時、元の菌糸の状態に戻ろうとして子実体の栄養を元に菌糸が成長する事があります。

 

そうです、それが気中菌糸なんです!

 

きのこの生態についてもっと詳しくはこちら↓

www.kanto-kinoko.com

  

 気中菌糸の生えたぶなしめじは食べられるの?

結論から言うと、気中菌糸が生えてもきのこは食べられます!

白いカビの様な気中菌糸はぶなしめじの菌糸なので食べてもまったく問題ありません。

 

調理しているとほとんど見えなくなりますが気になる場合はさっと湿らせたキッチンペーパーで拭くと取る事ができます。

ぶなしめじの気中菌糸はキッチンペーパーで拭き取る

 

もしくは調理の直前にさっと軽く洗い流しましょう。

  

気中菌糸の出やすい状況

気中菌糸は食べられる!

といってもあまり気持ちの良いものではないので、出来るなら避けたいですよね。

参考までに元きのこ問屋営業マンの経験から、気中菌糸の出やすい状況と対応策をご紹介しておきます。

 

袋に穴が空いていると出やすい

気中菌糸は空気のある状態だと発生しやすいです。

つまり、きのこが入ったパックに穴が開いていたり、開封したまま保管している状態です。 

営業マン時代にあったのが包装機の不具合で目に見えないくらいのピンホールが開いてしまっていた事例。

50袋入りの箱内で1袋だけドバっと気中菌糸が出て、おかしいと思い袋を押すと空気がスーッと抜けていくのがわかりました。

逆にしっかり密閉して保管しておけば発生しにくくなります。

温度刺激(温度変化)があると出やすい

気中菌糸は温度変化を与えると生えやすくなります。

例えば冷蔵で販売されていたぶなしめじを買って帰り、暖かいところに置きっぱなしにしたりすると生えやすくなります。

冷蔵庫と常温を行ったり来たり、といった事は避けましょう。

 

買ったばかりのしめじに白いモフモフが!のまとめ

気中菌糸(きちゅうきんし)、覚えていただけましたか?

もし今後きのこに白いモフモフが付いているのを見かけたらドヤ顔で

『これ、気中菌糸っていってきのこの一部で食べられるんだよ』

って教えてあげましょう。

周りから『へー、きのこに詳しいんだ』って一目置かれること請け合いですよ!

  1. きのこについている白い綿のようなものは気中菌糸(きちゅうきんし)
  2. 気中菌糸はきのこの一部で食べられます
  3. 気になる場合は湿らせたキッチンペーパー等で拭き取って下さい

 

※出来るだけ分かりやすくするために、この記事では『脱分化』という語句をあえて使いませんでした。きのこにお詳しい方、ご容赦ください。