舞茸の成分で茶碗蒸しが固まらず、お肉が柔らかくなるという噂の検証をしてみました【タンパク質分解酵素】

あなたは舞茸にまつわるこんなウワサを聞いたことがありませんか。

舞茸入りの茶碗蒸しは、いつまで蒸しても固まらないらしいわ

舞茸でお肉を柔らかくすることが出来るらしい!

どちらもにわかには信じがたい現象ですが、実はこれ、舞茸が持つある成分のせいだと言われているのです。

果たして本当に舞茸を入れた茶碗蒸しは固まらず、お肉は柔らかくなるのか。

白舞・・・じゃなかった、白黒はっきりさせるべく、関東きのこの会で実験してみました!

舞茸(まいたけ)の持つタンパク質分解酵素の実験

実験の材料たち

 

良かったら実験動画も併せてご覧ください↓

 

 

実験!舞茸入り茶碗蒸しは本当に固まらないのか

本当に『舞茸の成分の作用で茶碗蒸しが固まらないのか』を実証するため、4つのパターンで茶碗蒸しを作ってみました。

  1. プレーン(何も入れない)茶碗蒸し
  2. 生の舞茸を入れた茶碗蒸し
  3. 焼いた舞茸を入れた茶碗蒸し
  4. 生シイタケを入れた茶碗蒸し

 

実験!舞茸(まいたけ)入り茶碗蒸しは本当に固まらないのか

 

舞茸と同時に、具無し(プレーン)とシイタケ入りの茶碗蒸しを作ってみることで、固まらないのが舞茸固有の現象なのかを確認します。

また、『舞茸を事前に加熱しておくことで茶碗蒸しが固まる』という話も聞いたことがあったため、フライパンで炒めた舞茸を入れたバージョンも作ってみました。

4種類を同時に蒸していきます。

果たして、結果はいかに?!

 

結果!舞茸入り茶碗蒸しは固まらない

30分ほど経った状態がこちら。

結果!舞茸入り茶碗蒸しは固まらない

 

一見、全て固まっているように見えますが、はてさて。

それぞれレンゲですくってみます。

結果、具無し(プレーン)とシイタケを入れた茶碗蒸しは、ちゃーんと固まっていることが確認できました。

具無し茶碗蒸し
シイタケ入り茶碗蒸し
左:具無し 右:シイタケ入り

 

うん、見た目はさておき、美味しい!

(見た目も良くて美味しいのは、今度きのこ料理研究家のまんぼママさんに作ってもらいましょう)

では、次に本題の舞茸入り茶碗蒸しをチェックします。

レンゲを入れてみると・・・

舞茸(まいたけ)入り茶碗蒸し

 

おおー、サラサラ!

見事なくらい液体のままで、全く固まっていません。

『舞茸入りの茶碗蒸しを作ると固まらない』というウワサは本当でした!

 

焼き舞茸入りの茶碗蒸しは固まったのか?

では、『舞茸を事前に加熱しておくことで茶碗蒸しが固まる』というウワサの方はどうなのでしょうか。

焼き舞茸入り茶碗蒸しにレンゲを入れてみると・・・

焼き舞茸入り茶碗蒸し

 

ありゃま!こっちもサラサラ!

舞茸を事前に加熱しておいても、茶碗蒸しは固まりませんでした。

このウワサに関しては、もう少し検証が必要なようです。

 

舞茸の成分『タンパク質分解酵素』が茶碗蒸しを固まらせない

なぜ、舞茸を入れた茶碗蒸しは固まらないのでしょうか。

それは、舞茸の持つ成分『タンパク質分解酵素』が作用するからです。

雪国まいたけさんの『極み』

 

茶碗蒸しは、”加熱すると固まる”という、卵のタンパク質の熱凝固性を利用して作る料理です。

しかし、舞茸の持つタンパク質分解酵素は、文字通り、その卵のタンパク質を分解してしまいます。

だから、いつまで蒸しても茶碗蒸しが固まらないという現象が起きるわけです。

ちなみにタンパク質分解酵素は、パイナップルやキウイなどにも含まれている成分です。

 

舞茸を下茹ですると酵素の働きが止まる

焼き舞茸を入れた茶碗蒸しが固まらなかったことに納得がいかず、別日にもう一度実験してみました。

今度はフライパンで炒めるのではなく、茹でた舞茸を使ってみます。

結果・・・

なんと、今度はちゃんと固まりました!

舞茸(まいたけ)入り茶碗蒸し

 

なぜ焼き舞茸では固まらなかったのに、事前に茹でた舞茸を入れた茶碗蒸しは固まったのか。

専門的なことは分かりませんが、露木の考えを紹介します。

舞茸のタンパク質分解酵素は、水溶性の成分なのではないでしょうか。

そのため、茹でることによって、ほとんどお湯の中に溶け出してしまったのかもしれません。

正確な答えでは無いかもしれませんが、事前に茹でた舞茸を使えば茶碗蒸しが作れる事は検証できました。

茹でた分旨味も抜けてしまうという欠点はありますが、どうしても舞茸で茶碗蒸しを作ってみたい人は、参考にしてください。

 

舞茸のタンパク質分解酵素でお肉は柔らかくなるのか

舞茸のタンパク質分解酵素の実験第2段、次は『舞茸でお肉は柔らかくなるのか』を検証します。

ハムとステーキ肉(牛モモ肉)で実験してみました。

 

舞茸でお肉を柔らかくする実験手順

  1. 舞茸をボールにほぐし入れ、少量の水をかける

    まいたけを手で裂く

  2. 柔らかくしたい肉を食品保存袋に入れ、舞茸をたっぷり詰める

    左:舞茸に埋もれたハム 右:舞茸に埋もれたステーキ

    左:舞茸に埋もれたハム 右:舞茸に埋もれたステーキ
  3. 一晩冷蔵庫で寝かせた後、通常通り調理する

 

ハムは柔らかくなったのか

左:ハム 右:まいたけに挟まれて一晩過ごしたハム

左が何もしていないハム、右が舞茸に挟んで一晩過ごしたハムです。

若干舞茸の色素が付いた程度で、そんなに見た目は変わらないように見えます。

が、双方を手で割いてみてビックリ!

普通のハムは適度な弾力があるのに対し、舞茸と共に一晩過ごしたハムはほとんど抵抗が無くボロボロ割けていきます。

ハムを手で裂く

 

こりゃあ、明らかに柔らかくなっている!

両方のハムを同時にフライパンで焼いてみました。

そして、焼きあがったハムをフォークで持ち上げてみると・・・

焼きハム
舞茸風味の焼きハム
左:ハム 右:舞茸に挟まれて一晩過ごしたハム

 

何もしていないハムはピンと張っているのに対し、舞茸ハムは柔らかくぺにょんと折れ曲がってしまいました。

結果は一目瞭然! 

舞茸のタンパク質分解酵素は、確かにハムを柔らかくすることが分かりました。

尚、 ハムにはしっかり舞茸の風味が付いていて、美味しかったです。

 

ステーキ肉は柔らかくなったのか

左が何もしていないステーキ、右が舞茸に挟んで一晩過ごしたステーキ

左が何もしていないステーキ、右が舞茸に挟んで一晩過ごしたステーキ。

やっぱり、手で触った感じ、舞茸に挟んだ方が柔らかくなっている気がします。

これは、口の中でとろけちゃう高級ステーキみたいになっているんじゃないの?!と期待に胸が膨らみます。

 

いざ尋常に・・・ジュワッ!!

フライパンで2枚同時に焼いてきます。

ステーキって、なんて美味しそうな音と香りで焼けるんだろう。

ステーキって、なんて美味しそうな音と香りで焼けるんだろう。

 

そして、完成!

左が何もしていないステーキ、右が舞茸に挟んで一晩過ごしたステーキ

左が何もしていないステーキ、右が舞茸に挟んで一晩過ごしたステーキ


さっそく食べてみます。 

・・・あれ、あまり違いが分からないぞ。

どちらもそんなに柔らかくない。

保存袋から出したときは、確かに舞茸入りの方が柔らかくなっていた気がしたのに、なぜ??

思うに、これはお肉をしっかり加熱したことにより、水分が抜けてお肉が固くなってしまったためでは無いでしょうか。

うーむ、焼き方が素人だったせいか。。

もしかしたら、上手に焼いたらその違いがはっきり分かるのかもしれませんが、露木では実証できませんでした。

ということで、『舞茸で確かにお肉は柔らかくなるが、焼き方が素人だとそんなに劇的には変わらない』というなんともイマイチな結果に・・・

これは、再度検証が必要ですね。

尚、漬け込んだ舞茸やお肉を全部一緒くたに炒めて家族に出したところ、大好評でした!

舞茸とサイコロステーキ炒め

やっぱり舞茸って美味しい!

 

後日、『舞茸でお肉を柔らかくする実験』をリトライしてみました

ステーキ肉の実験結果に満足できず、後日リトライしてみました。

今度は漬けダレ方式でどうだ!

ステーキ肉にフォークで穴をあけて、より染み込みやすくするという技法も使ってみます。

ステーキ肉にフォークで穴をあける
舞茸ダレに一晩漬ける
舞茸ダレに一晩漬けこみました

 

翌日、前回より明らかに柔らかくなっていることを確認。

期待を込めて焼き上げていきます!

ステーキ肉を焼く

 

そして食べてみた結果!!

やっぱり違いが分かりませんでした・・・

だれか、お肉が上手に焼ける人、実験してみて~!

 

まとめ

  1. 舞茸はタンパク質を分解する酵素を持っている
  2. 舞茸を入れた茶碗蒸しは固まらない
  3. 舞茸に一晩漬けこんだお肉は柔らかくなるが、加熱しすぎると結局固くなる
  4. 舞茸を下茹でする事で、タンパク質分解酵素の働きを抑えることが出来る